【酒蔵物語】 水芭蕉 永井酒造

The Story of Brewery

初代永井庄治の「酒造りを始めたい」という想いと、上州・武尊山に降る雨や雪が尾瀬の大地で濾過された天然水が川場村で交錯。

創業明治19年。初代当主が、川場村の「水」と出会い、永井酒造の酒造りがスタート。そして「惚れ込んだ水」を守るために、酒の仕込み水が取れる沢の両脇の森を少しずつ買い足し、自然の恵をまるごと守る取り組みも行って来ました。現在の当主で6代目。自然を守りながら、新しいことに挑戦し続ける「自然美」を目指す酒造だ。

伝統と近代化の融合、そして「ナガイ スタイル」の挑戦

6代目に酒造りのこだわりとは。「受け継ぐべき伝統や技術を守るために『人にしかできないこと』は従来以上の手仕事で、『近代化すべきところ』は大胆に刷新し住み分けを行いました。そして、徹底的に質にこだわった吟醸造りを目指し”水芭蕉蔵”が平成6年に完成。また、『世界に通用する日本酒を造りたい。』そう考えた時、世界で評価されている”ワイン”を学ぶためにフランス・シャンパーニュ地方に足を運びました。そこにはブドウ造りに命をかけた農家と、400年の歴史を持つワイナリー、それら全てを誇りに思う住民、そして世界中から集まった人々がいました。ブドウと同じ事を”米”で取り組もうと決意した瞬間です。米のお酒としての”日本酒”を、日本の文化として世界に伝えていくために、米の魅力を我々の持つ技によって存分に引き出してゆく。それは従来の固定観念をも覆す事があってもいい。そんな思いのもと、”NAGAI STYLE”の提案に至ったのです。ワインのようにコース料理に日本酒をペアリングする”ナガイ スタイル”で世界のワイン市場に挑戦して行きます。」

「ナガイ スタイル」とは

固定観念を覆す第一歩となったのは、発泡性清酒の開発で、瓶内二次発酵製法による発泡性清酒「MIZUBASHO PURE」は2008年に誕生した。シャンパーニュ地方の伝統製法による日本酒の開発は、国際特許や国内製造特許、製品特許を取得していることからも永井酒造の独自性が垣間見れる。

そして、2013年に満を持して発売に至った Vintage Sake。これは20年の研究を経て確信した、古酒ではない「Vintage」という新しい概念の日本酒で、「時の流れ」を加えないと出来ない味わいに仕上りだ。

「MIZUBASHO PURE」を Sparkling Sake と位置付け、次に従来のブランド酒(水芭蕉や谷川岳の純米吟醸や純米大吟醸など)を Still Sake とする。そして Vintage Sake へと続き、Dessert Sake へという一連の流れで、料理に併せて「米の酒」の日本酒を提供していく。このような提案が永井酒造の目指す「NAGAI STYLE」だ。

日本酒初心者は、利き酒師にセレクトをしてもらうのがオススメ

6代目に日本酒に馴染みのない方が、日本酒を選ぶコツを教えてもらった。「日本酒のラベルには様々な情報が書いてあります。精米歩合や日本酒度、酸度を見るとどのような味なのか参考する事が出来ます。精米歩合が低ければ低いほど香り豊かで雑味が少ないと言われています。また、日本酒度は高いほど辛口とされております。しかし、日本酒は嗜好品でございますので、飲んだときの体調、環境で感じる味わいが変わるものです。お奨めはきき酒師のいる専門店で自分の好みを伝えてセレクトして貰うのが良いと思います。」

確かに、日本酒はラベルから情報を読み取り味や香りを想像する。これができるのはかなりの上級者。日本酒をあまり知らない方にとってはお手上だ。そんな時は、6代目のアドバイス通り専門家にセレクトしてもおう!

自然を素直に表現する日本酒造りを目指す

最後に日本酒への思いを聞くと、「日本酒は日本の誇れる文化の一つです。その文化の一端を担っているという自覚を持ち酒造りに取り組んでまいりました。永井酒造の酒は、川場村という自然にあふれた土地で、自然への敬意と感謝の気持ちを込めて造られています。」と。6代目の自然に対する深い感謝が感じられる。

雨や雪が尾瀬の大地で濾過され、柔らかく甘みのある伏流水がわき出る利根沼田地区には酒造のほかにもビール工房やワイナリーもある。そのため地域との取り組みとして、観光も兼ねて蔵見学を行える「利根沼田 酒蔵ツーリズム」、各蔵のそばには迦葉山や吉祥寺などの寺院や道の駅「田園プラザかわば」、温泉施設などもあるので家族で観光が楽しめる。

永井酒造ホームページ(リンク)